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毒になる親
6.親の責任を追及することに罪悪感を感じたら
家族への忠誠心を見直す
このサイトや『毒になる親』『不幸にする親』を読み進んでいき、自分と親との関係、現在の自分への親の影響について考えていくうちに、「親や家族を非難するなんて、許されないことではないか」と感じる方もいるかもしれません。それは家族に対する忠誠心からくるもので、誰にでもある心理です。
しかし、「過去の苦痛」と「現在の問題」とのつながりを調べる時は、家族への忠誠心のために自分が家族から心の傷を受けた事実を否定しようとする気持ちを、打ち破らねばなりません。
「親を責めてはいけない」「すべてはもう過去のことだ」などの考えが心のなかをよぎる人は、それはあなた自身の考えではなく、心のなかに内面化された親の声かもしれません。
それに、どんなにコントロールばかりする親でも、たいていは、時には子どもをいたわったり、優しくなったり、子どもが喜ぶ顔が見たいと思う瞬間もあるのです。
親への忠誠心から生じる「無実の罪悪感」の例
Q.私は親にはたくさん借りがある。彼らは自分のことをさんざん犠牲にして私を育ててくれた。
A.「親のやり方には不健康で有害な点がたくさんあった」という事実を直視することは、けっして親に対する裏切りではありませんし、それで彼らがしてくれたことの価値をおとしめるわけではありません。自分にとって非常に重要な問題について、正直な問いかけをすることが、相手に対する侮辱になるということはまったくありません。自分の過去や親について、よい面も悪い面もともに見られるようになることが大切です。
Q.すべてはもう過去のことだ。今さら蒸し返したところでなんになる。
A.多くの人は、自分が親にどれほど影響されているかについてあまりよく考えません。たとえば、いつも親にけなされてばかりいた人にとっては、たとえ親は意図的に子供を傷つけようとしたのではなかったとしても、そのために自分がどれほど傷ついたかを認めるのはとてもつらいことです。だから考えたくないのです。
「子供の時、私はあの親に依存し、自分の力ではそれをどうすることもできなかった」と認めるのには苦痛がともないます。「私の親は、自分の子供を育てるという、人生でいちばん重要であるはずのことをうまくできなかったのだ」と認めるのには勇気がいります。そのため多くの人は、傷つきたくないがために事実から目をそらし、理由をつけて正当化しようとします。
Q.私の場合はそんなにひどくはなかった。もつとひどい思いをしている子供はたくさんいる。
A.そのように考える人はたくさんいます。
しかし身体的虐待や性的虐待にかぎらず、不健康で過剰な心理的コントロール、残酷な言葉や仕打ちなどの精神的虐待は、すべて子どもに大きな苦しみをもたらし、大人になった後も長期にわたって影響が消えません。
Q.親はよかれと思ってそうしたのだから、もう許して忘れるべきだ。
A.親に悪意はなかったのかもしれません。子供のためによかれと思ってそうしたというケースもあるでしょう。しかし、「だから子供にとってよかったのだ」とは言えません。子供が実際に耐えがたい苦痛を強いられたのであれば、悪意があった・なかったは問題の本質ではないのです。
Q.子供時代に親のコントロールがどうだったかなどと考えていると、家族や友人から笑われる。
A.そういう心配をすること自体、他人がどう思うかを基準に生きていることを示しています。
世の中には、あなたのすることをよく思わない人はもちろんいるでしょう。けれども、たとえ他の人が賛成してくれなくても、自分の身に起きたことの真実を追究するのは、独立した自己を確立するうえでとても重要です。
自分の過去を調べるのは非常に個人的なことです。過去の束縛から自分を解放し、親との関係に新しい自由を確立することは、誰かにことわりを入れなくてもできることです。
子どもは、単に親の子どもだからという理由で親に借りがあるわけではない
私たちほとんどの人間は、親を愛し、うやまう気持ちを持っています。もともと存在しなかった自分を創り出して育ててくれた人たちに感謝し、忠誠心を持ち、認め、賛美する気持ちを持つのはごく当然ですし、自然なことです。しかし、自然なこととはいえ、それは親に「借り」があるからではありません。子供は、自分が存在する正当な権利を維持するために、感情的な対価を払わなくてはならない責任はないのです。
親は、自ら親になる道を選んだ結果、親になったのです。
子育てには大変な苦労や困難がともないますし、親には大きな責任がともないます。
この世に、子供から感謝されたくない親はいないでしょう。しかし、心が健康な親なら、「感謝とは、子供からされるかもしれないものであって、子供がしなくてはならないものではない」ということが理解できるでしょう。子供からの愛や尊敬や感謝は、親が子育てで努力することよって、自分の力で得るものです。子供を支配することによって、当然のように相手に要求するものではありません。
ところが、コントロールばかりする親にはこれがわからないようです。
コントロールばかりする親のいる家では、親のニーズは愛情に優先します。彼らは子供が彼らを愛し、感謝し、賛美し、言うことを聞き、喜ばせることを必要とし、期待し、命じさえします。
彼らがこのような考えを正当化できると思うのは、子供は自分の「所有物」だと信じているからです。
5.傷つけられた心を癒そう < >
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